第九章 そして伝説へ(何)
魔王城は、王道ながら、それだけに凝ったアトラクションだ。
攻略には手順があり、先ず、王宮に入るまでに一仕事。バカ強い門番を倒す。
間違えて裏口から入ろうものなら、トラップにひっかかり、パーティー全滅。
そして、迷路を抜けて王宮内に入ると、お出迎え戦闘がある。
今回はゴーランドが新曲を披露しようと待ち構えていたのだが、残念なことに彼は待ちぼうけを喰う羽目になる。
お出迎え戦闘後、仕掛けが働き、地下迷宮に落とされる。
そこで、レアアイテムを回収しつつ、中ボスを倒し、場合により浚われた仲間を回収する。
ユリウスを回収する場面かもしれないが、無理やり仲間にしたワリには、アリスはすっかりユリウスのことを忘れている。
ようやく王宮内にたどり着くと、どうやって生活するんだよ、不便じゃないかとツッコミたくなる満載の仕掛けを通り抜け、玉座の間にたどり着く。
が、続く回廊は仕掛けがしてあって、扉が開かない。
その場合、左右の塔があって、それぞれの注ボス「エリーちゃん@出張中」などを(エースとエリオットが)斃し、ようやく玉座の間に向かうのだ。
「全部省略!」
やる気のない主人公ことアリスの宣言どおり、アリスは一路玉座の間に居る。
「お嬢さん…ちょっと…酷いんじゃないか?」
「…ブラッド…何やってるのよ」
「退屈していたら、姉…いや…とにかく『魔王役のバイト』を頼まれてだな。領土交渉の条件の一つなので、断る訳にもいかず、今まで来た勇者役を全滅させてしまったところだ…」
物陰には、シカバネが累々と…
「…出稼ぎ!?エリオットが聞いたら泣くわよ」
「メリー=ゴーランドの考え抜いたアトラクションを全部省略してきた君がそれを言うか…?…しかし、君一人でここまで来たことは褒めてやろう」
「…魔王っぽいわね…わざわざフルネームで呼んであげるなんて」
ブラッドはニッと笑った。
「お嬢さんから褒められるなら悪くない。…さて、魔王は勇者を玩ぶものなのだが」
「…急にセクハラオヤジに成り下がった」
「…ゲームオーバーでいいのかな?お嬢さん?」
「ちなみにね。時計塔から飛び降りても抱えていたバスケットに、ハートの城特製ブレンドの紅茶の茶葉があります。そして、紅茶専用に汲み上げた水もあります」
「マシンガン封じか…小癪なっ!」
そんなことでぶち切れる、流石バイトの魔王クオリティ。
「それだけじゃないわよ!わざわざ燃やさなくても、ちょっと勿体無いけど、この缶の中身をぶちまけて、この水を撒けばいっかんのおしまい☆」
「…落ち着いて話をしようじゃないか、お嬢さん」
それでいいのかオマエは…
「…わかった、勇者なんてやめたいんだろう?三食昼寝付きでウチの領土で過ごすなんてどうだ?」
生活臭溢れるプロポーズくさい台詞をだるそうに口にする。
「…何かよく分からないけれど、魔王の誘いに乗るとゲームオーバーってどこかで聞いたことがあるから、却下!私はこのゲームを終わらせて仕事に戻って本の続きが読みたいだけ!」
「何で分からないかが分からないが、交渉は…決裂だな!」
ブラッドが手にした杖をマシンガンに変えた。
「ブラッド!ここに居たのか!ちょうどいい!この書類の決裁をよろしく!」
「なっ!エリオット!どうしてここに!」
向かって右の塔で、エリーちゃん@出張中を斃したエリオットが合流した。
「…えい」
向かって左の塔で、(中略)エースが合流した。
背後から、エースがブラッドの頭に付いた恥ずかしい水風船を割った。
「ぶわっ!冷たっ!」
「ああっ!書類に水がっ!」
ブラッドとエリオットがそれぞれに悲痛な叫びを上げる。
「なー…アリス…ゴアな表現が嫌だからってさ。魔王の頭に水風船は無いと思うんだ俺…」
納豆を目の前に出された伝統的な関西人のような顔をエースはしている。
「…何言ってるのよ。エースが教えてくれたんじゃない」
「言ったけどさぁ…俺、すごくつまらないものを切ってしまったよ…斬鉄剣じゃないけどさ…」
功労者たるエースが、珍しくぶちぶち言う。
彼はあの時、アリスにこう言ったのだ。
コンフィグの中に隠しコマンドがある。
ストーリーのシリアス度を限界まで下げればイージーモードでクリア可能。
「怪我人も死人も出なくって良かったじゃない」
「でもさー俺とアリスの頭にも水風船くっついてるんだぜ?」
「紙の的の方が良かった?武器が水鉄砲になるのよ?こっちの方がマシじゃない」
「…どっちもどっちだと思うぜー…ああ、水鉄砲の方が良かったかも!君がびしょびしょの濡れ濡れのスケスケ…」
「しまったぁぁぁぁ!」
「ちょ!ブラッド!絶叫するのはやめようぜ!部下に見られたら…!」
「…あんた達。ヘンタイ…」
エリオットとばっちり☆
「結局、ディーとダムから貰ったドロップアイテムも使わなかったけど、これでいいのよ」
「…微妙過ぎない?」
「考えないことにした。さっさと帰って、本の続きを借りるのよ!」
「えー…まだイロイロな複線とか重要なラブの線とか回収してないのに?公式的にはバッドエンド路線だよ?」
「このクオリティでバッドエンドはないと思うわ」
エースとアリスは、全てが終わったとばかりに出口方面に歩き始めた。
「お嬢さん…勝手に帰るな。これを渡さねばならん」
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魔王討伐完了証明証
伝説の勇者 アリス=リデル 殿
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「…どこまでも脱力するストーリーね…うわっ名前入りなんて破って火にくべたい…」
「はははっ、そう君が脱力系に設定したんだろ?途中でコンフィグいじるから、ルートもエンディングも変わっちゃったんだぜ?」
「…いいのよ。このゲームを可及的速やかに終わらせることこそ、私の至上命題なんだから」
「ちなみに、記念写真はここから出口に向かう途中の魔王城の売店で買えるからな、お嬢さん」
「お金取るの!って写真なんかいつ撮って…!」
「アトラクションだからなぁ…結構いい値段するんだぜ?でも記念に買っていこうな!」
エリオットがきらきらとした笑顔を向ける。中身だけなら一番伝説の勇者のご一行様に相応しい男だった。
「…元気だなぁ…ま、これで一件落着よね。時間帯が変わったみたいだし、結構ギリギリになっちゃったけれど、仕事に間に合いそうで良かった!これで本の続きが借りられるわ!」
…アリスは知らない。
ゲームにはエンディングというものがある。
そのイベントは場合によっては二時間帯以上かかるということを。
王様の起きている時間帯に謁見の間で報告して、優勝パレード(違)その後、舞踏会やら何やら、夜空に花火で「END」と描かれたりするまで続く。
彼女がそこまでして端折った物語は結局「間に合わなかった」「気持ち悪い謎がイロイロ残った」「ユリウスはどうした」って話で…
ま、それも一つの冒険譚。
END
■あとがき
構想五分間、書き上げるのに合計(細切れ時間だから)二時間程度かかっています。
クダラナイのに、ちょっと時間かかっています。
こんなクダラナイのに、構想に五分も!
そして、ちまちまと、数日に亘って…
…よく気力が続いたなと我ながら思います。
文章は勢いがあることを命題に、簡単な表現になるように書き直したりして…逆に手間だぞコンチキショウ。
ワードのデフォルト設定で36ページ位あります。
コピー本にちょうどいい長さの話ってやつですね☆←最近仕入れた知識。やっと使えた☆
RPGで遊べたのは二年生の途中までか…
そろそろ、ウチのPS2は限界のようです。もっとも、私は動かしていないので、ご臨終しているかもしれませんが。
最後に会った時、彼(?)はPSPばりにシャーシャー威嚇が煩かったような気がします。オトートに彼の生存状況を聞いてみよう…
最近はPSPで遥か3を攻略しつつ、五月の連休中に980円(中古)で買ったDFFもやってみたり。
気晴らし。格ゲー未満格ゲー。だけれども、眠気吹き飛ぶ三分リフレッシュ!
ほぼ全裸なキャラが混じっているせいか(違)レーティングが15歳以上なんですよねぇ…(格闘モノだからだって)
暗闇の雲ねーさん…ドロンジョ様みたい。
ウネウネする触手が強ーい!でもティナちゃんの遠距離攻撃で楽々フルボッコ…
ジョーカーの中の人も居て、中々楽しいです。あの衣装……ヘ○タイ…
あ、ミハエルの中の人も居ました。
ディーとダムも…w
ハガレンのエドとか…
そうそう、丞相もいらっしゃいました!最初、聞き間違いかと思ったのですが、何度か聞くうちに分かりました!セフィ○スですよね?
あと、エヴァのレイちゃんとか居ましたよ。
…わっち、暦浅で詳しくないんですが、わっちでも分かったり、聞いたことがあるって思ったりするってことは超豪華なのでは?
PSP持ってるのに狩猟生活する気にはなれません…ハマるのが怖いって。
あ、まだ絶対迷宮グリムのALPのCGフルコンプできていないよ。
ゲーム好きですよ。
弟とチェスもします。カードとかも含めてアナログなゲームから家庭用ゲーム機、最近PCゲームもですね
アルトルネリコとかやりたい。ペルソナもちょろっとやりました、4やりたいですねぇ。
アトリエシリーズとか、娘とか、休暇に本を持っていくと、かさばるのでゲーム機便利。
初出日
2010/07/02 Faceless@MementMori